税務に関する調査工数を大幅に削減する「税務相談ロボット」の導入インタビューを実施しました。導入前は、クライアント対応や情報収集に多くの時間と労力を費やしていましたが、AIの活用により業務効率が向上し、迅速かつ正確な情報提供が可能に。さらに付加価値の高いコンサルティング業務への注力や、事務所運営の安定化にも重要な役割を果たしています。本インタビューでは、導入の背景や具体的な活用事例、AI時代の税理士の役割についての考えを伺いました。
導入の背景
税務相談ロボット導入を決定するきっかけや動機について教えてください。
佐々木先生:頂いた質問の難易度が高いほど、正しい情報に辿りつくのに時間がかかりますし、回答文書を作る際は神経を使います。『税務相談ロボット』を導入して感じられたことは、「まず収集しているデータが完全にパブリックな情報のみのため、信頼性が高く、今までにない新しい情報収集の方法だと感じました。回答には出典元とそのリンクも表示されます。リンクをタップすればすぐにその出典元に飛べるので、根拠が正しいか否かを明確に把握することができ、本当に便利です。
導入の効果
『税務相談ロボット』の導入により、税理士業務のどの部分が最も効率化されると考えますか?
佐々木先生:昨今の人手不足は税理士業界も同様です。若手の候補者ほど大手に採用される傾向にあるため、特に中小の税理士事務所では慢性的な人手不足です。
クライアントからの質問に対する回答案を一次的に『税務相談ロボット』が自動生成してくれるだけで、業務効率化が図れます。税理士や職員にとっては、その回答案がヒントになり、クライアントの実情に即した回答を考える力が引き出されます。『税務相談ロボット』の活用により、税務のプロとしての付加価値の高いサービス提供に注力できるのです。
生成AIの回答を得て終わりではなく、『税務相談ロボット』は国税庁の質疑応答事例や裁決事例といった周辺情報も提供してくれるので、税理士に新たな気づきや発想のきっかけを常に与えてくれます。『税務相談ロボット』から得ることができる周辺情報を知れば知るほど、もっと勉強しようと向上心が掻き立てられます。
さらに『税務相談ロボット』の活用には、自律的思考を促進する副次的効果もあると考えられます。自律的とは、ChatGPTによると「外部からの指示や制約に左右されず、自らの意思や判断に基づいて行動すること」を指します。最近、自律的思考と働きがいとの関係に言及する『AI時代の「自律性」』*という本を読みました。近年では働き方改革に加えて、働きがい改革も重要視されていますよね。働きがいは税理士法人に勤めている職員の方にとっても、税理士自身にとっても、非常に重要だと思います。
税理士業界は税理士事務所、税理士法人の規模に関わらず転職が多い業界なので、職員の定着促進と円滑な事務所運営のためには、『税務相談ロボット』のようなAIツールの導入が必須ではないでしょうか。